極道に過ぎた、LOVE STORY
 「だって、危険な事が起きているの分かっちゃったんだもの。心配で、トモさんのポケットに、GPS入れちゃった。ほらね」

 玲香のスマホを見ると、赤い印が、東港倉庫を指している。もう一つの赤い印を指で差した。

 「これは?」

 「ああ、幸のスマホにもしくんじゃった。だって、心配なんだもの」

 まさか玲香にGPSを仕込まれているなんて気付かなかった。多分、トモだって同じだろう。

 しかし、ヤクザのポケットにGPSを仕込むなんてて、たいした度胸だ。

 だけど、その度胸が、これから玲香が歩もうとする医療の世界で、大きな糧となっていくのだろう。そう思うと、楽しみでならない。


 「はあ、全く!」 

 玲香をジロリと睨んだが、そのお陰でパパの取引の場所が分かったのだから、褒めるべきなのかもしれないが。


 「東港へお願いします」

 運転手に向かってお願いした。

 「はい」

 車は、キューっと向きを変える。スピードは下げす、次から次へとしなやかに車を抜いていく。

 「凄い……」

 康も、驚いている。


 あっという間に、東港の倉庫に着いてしまった。

 倉庫から少し離れた所で、車が止まった。

 「私はここで待っているから。いつでも逃げてくるのよ?」

 玲香が、私を抱きしめて言った。

 「本当に、ありがとう」

 私も玲香を抱きしめる。


 「あなたも、ここで待ってて」

 康に言ったが、何も答えてくれなかった。

 「雨宮さん、市川さん、ありがとうございました。お二人とも素晴らし技術を持っておられ、大変勉強になりました」

 私は二人に向かって頭を下げた。

 「貴方も、素晴らしい腕を持っておられます。相手は数はいますが素人のように思えます。その分、慣れない武器の使い方をする可能性があります。くれぐれも気をつて。我々の任務は、長岡様をお守りする事です。お力になりたいのですが、ここで待機させて頂きます」

 雨宮は、鋭い目を窓の外に向けたまま言った。


 「はい。玲香をお願いします。

 ドアに手をかけると康と二人、車から降りる。

 「幸、康、気をつけて!」


 玲香の声を背中に、倉庫へ向かって歩く私の後ろを、康が着いて歩く。

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