極道に過ぎた、LOVE STORY
 「後、少しずれていたら危なかった。止血処理も適切だった」

 西澤部長の言葉に、目から涙が流れ落ちた。

 「ありがとうございました」

 「咄嗟の対応によくやった。わかっているとは思うが、まだまだやれる事はあった。これからの幸先生に期待している」

 「はい」

 返事をするのが精一杯だった。もっと、もっと経験を積んで、どんな状況でも適切な処置ができる外科医になりたい。でも、この現実が、私をどうしようもなく不安にさせる。


 「お疲れ様。大変だったわね」

 目の前に、タオルが差し出された。

 「玲香……」


 羽柴が無事であった事にホッとしが、玲香の顔を見た途端、今日起きた事が頭の中を駆け巡るように蘇ってきた。玲香からタオルを受け取ると、顔を抑えた。


 「倉庫の中で、何が起きたの?」

 「康が…… 」

 「康がどうしたの?」

 「警察官だった」


 「はっ? どう言う事?」

 「わかららない…… 騙されていたみたいだ」

 「そんな…… 康が…… だから、あんなに早く警察隊が駆けつけられたんだ」


 私は、全てを振り払うように、大きく首を横に振った。


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