極道に過ぎた、LOVE STORY
 特別室である、羽柴の病室のドアをノックした。

 「はい」

 羽柴は、裸に包帯巻いた姿で、体を起こした。

 こんな時に何だが、乱れた髪にヤクザっぽさが、かえって色気を増している。

 「痛みはどうだ?」

 「お嬢! こんな所まで、申し訳ありません」

 「こんなところって? 私が働く病院だ」

 「そ、そうでしたね」

 羽柴は、しまったと言うように口を抑えた。


 「必要な物もあるから、持って来た」

 「そんなもの、若い奴を使って下さい」

 持って来た紙袋を開けると、タオルや着替えを棚に仕舞った。


 持って来たみかんを紙袋から出すと、一つ羽柴に渡した。

 「警察は来たのか?」

 「はい。状況説明はしました。お嬢が狙われていたことも。警察はあまり好かないもんで、早々に切り上げてもらいましたよ。また、来るでしょうけど」

 「そうか。パパはどうなるんだろう?」

 「まあ、警察も目の敵の大物を捕まえられたので、それなりの刑期を与えるでしょうね。ただ、今回は、大きな裏組織が表立って逮捕が出来た事の方が大きいでしょう。これで、芋蔓式に詐欺グループや、薬の売人が捕まるでしょう。うちの組は、三代目と幹部の一人以外は、皆釈放されたようですから。スカイグループの奴らは、そうは行かないみたいですがね。トップも下の奴らに責任押し付けているようですし」

 「そうか」

 私は、手にしていたみかんの皮に爪を立てた。


 「お嬢、康さんとは話をしましたか?」

 「何言ってんだ。あいつは警察官だった。そして、パパに手錠をかけた」

 「そうですね……」

 羽柴は何かを考えているように窓の外に目を向けた。羽柴だって、康の裏切りに腹が立っているのじゃないのだろうか? その前に、騙されて康を連れてきた私にだって、苛立ちを感じているかもしれない。

 「私がもっと警戒すべきだった。康に、騙された私が悪い」

 「お嬢……」

 羽柴は、何かを決めたように私を見た。

 「何だ?」

 「これは、あくまでも私の感ですが、三代目は康さんが警察官である事に気づいていたんじゃないでしょうか」
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