極道に過ぎた、LOVE STORY
 見慣れた大きな門の前に立つ。私に気づいて、組の若い奴らが門を開けた。

 「お嬢、おかえりなさいませ」

 男達が口々に頭を下げる。

 パパが守ってきた、轟川組。羽柴も居ない今、組をどう守るべきなのだろうか?


 リビングのソファーに座り、カップに程よく注がれた熱いコヒーを口にした。

 「お嬢、少しよろしでしょうか?」

 トモの声が、リビングの外から聞こえた。

 「ああ」

 トモが入ってきたので、ソファーに座るように促したのだが、トモは床に膝をついて座った。

 「どうしたんだ?」

 「お嬢に、お話しなければならない事があります」

 トモの、思い詰めた表情に嫌な予感がする。


 「なんだ? 康とパパのことでも散々なのに、まだ何かあるのか?」

 「申し訳ありません。その、康さんの事なのですが……」

 康の名に胸の奥がヒヤリとする。トモは、言葉を詰まられた。


 「いいから、言え」

 「実は、康さんは俺の兄なんです」

 「はあ?」

 悪いが嫌な目線でトモを見下ろしてしまった。


 「すみません」

 トモは、床に頭をつけた。

 「どういう事だ。お前も、轟川を潰すつもりだったって事なのか?」

 「違います。兄とここであったのは、数年ぶりで、本当に偶然で……」

 「ちょっと待て、頭が追いつかない…」

 「はい」

 トモは、頭を下げたまま返事だけをした。


 私は、ソファーから立ち上がるとリビングの大きな窓を開けた。まだ少し冷たい風が頬にあたり、冷静さを取り戻してくれる。

 今日は、次から次へと知らなかった事が明らかになる。流石に、頭が追いつかない。


 「全て話せ」

 窓の外に目を向けたまま言った。
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