極道に過ぎた、LOVE STORY
 「今度は、なんだ?」

 「トモの事、お許し願いないでしょうか? トモがお嬢に嘘をついていた事は、あっしらにとっても許せない事です。ですが、轟川組の為、お嬢のために全てを尽くしてきた事も確かです。轟川にトモは必要です。お願いします」

 「お願いします」

 男達が口々に頭を下げる。


 「お前ら…… いい加減にしろ……」


 「お嬢?」

 男達が、怯んだのがわかる。


 「お前ら! 口を開けば、轟川組のため、三代目のため、お嬢のため! 自分の人生をなんだと思ってんだ! 自分の人生を自分の為に生きられないのか! うんざりなんだよ、自分のために誰かが犠牲になるのは…… そして、それが本望だと? バカじゃないのか?」


 ソファーから立ち上がって、土下座する男達を睨んだ。その時、窓から吹いた風に、長い髪が頬に触れて、邪魔だと思った。


 「お嬢…… これが、あっしらの選んだ人生なんです。自分で考え、自分で決めて、ここに辿り着いたのです。自分で選んだ責任は、自分で取る覚悟で、轟川組にお仕えしております」

 「組の為、三代目の為、お嬢の為、それが、俺ら自身が生きる為なんです!」

 「あっしもです」

 組の奴らが口々に言う。

 これが、パパが道理を通し、築き上げてきた轟川組なのだと思った。


 「トモの事は、三代目が戻ってくるまで保留にする」

 「お嬢、ありがとうございます」

 だが、羽柴がいない今、組をまとめるものが居ないのは危険すぎる。


 「幹部を集めろ」

 トモに向かって言った。


 「お嬢…… この後に及んで申し上げる事ではないのは分かっています。ですが、兄にもう一度会っていただけないでしょうか?」

 この状況でも康に会えなどよく言えたものだ、縋るように私を見るトモを睨んだ。

 「会ってどうする? 大体の事は、お前から聞いて分かった、もう聞く事もない」

 「でも、兄の気持ちは、兄しか伝えられないんです」

 康の気持ち? 知ったところでお互い苦しいだけなのじゃないだろうか。


 「そのつもりはない」

 キッパリと言った。

 パパに手錠をかけた男に会うなど、あり得ない。


 すると、外の方が騒がしくなり、皆の表情に緊張が走った。

 「お嬢!」

 「どうした?」

 「姉さんが……」


 えっ?

 まさか……


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