極道に過ぎた、LOVE STORY
 色々あったが、無事に研修医として長岡総合病院で働く事が出来た。

 日々やらなければならい事に終われて忙しいが充実している。


 今日は、羽柴の退院日だ。

 羽柴の部屋をノックする。

 「はい」

 返事を確認してドアを開けると、スーツに着替えたいつもの羽柴が立っていた。


 「準備は出来ているようだな」

 「ええ。迎えは組の者に頼んであります。お嬢は、忙しいでしょうから仕事にお戻り下さい」


 「ママが帰ってきている」

 「そうですか」

 「驚かないんだな」

 「屋敷に戻る前に、顔を出してく下さりました。今後のことについて話をしました」

 「でも、こうなる事、分かっていたんだろ?」

 「そうですね。三代目の意思に従ったまでです」

 「でも私を庇って撃たれる事までは予測していなかっただろ? 本当なら羽柴がパパの代理を務めるはずじゃかたのか? 私の不注意で、予定を狂わせてしまったんだよな?」

 「今までも、予定外の事は沢山ありましたよ。でも、初めから三代目の代理は姉さんに託す予定でした。そのために姉さんの事は、表にしてきませんでしたら。お嬢が気にする事は何もありません」

 羽柴はそう言うが、やはり私を庇ったて怪我をさせた事は、忘れてはいけないと胸に刻む。

 「忘れる事はない。それと…… トモと康が兄弟だという事に気づいていたのか?」


 「いえ。ただ、どことなく似た綺麗な顔をしているとは思ってました。それでもこういう世界ですから、康さんの事は調べさせて頂きました。ですが、当たり障りのない情報ばかりしか出てこくて。まあ、警察の方で全て経歴を作り上げていたのでしょう」

 「そうか」

 結局、康は全て作り上げた人物だったという事なのだ。

 ただ、なんとだくだが、康とトモが連絡をとっている事に、パパも羽柴も気付いていたんじゃないかと思う。


 「康さん、どうしているのでしょうね?」

 羽柴が、チラリと私を見た。

 「さあ、知らない」

 康からは、一度着信があったが、私は出なかった。

 「康さんも、苦しかったじゃないですかね?」

 苦しかったと言われると、胸の奥がグッと苦しくなる。

 康が、苦しそうに私を抱きしめた顔を、忘れる事など出来ない。でも、だからと言って、全てを許すほどの余裕も、今の私にはないのだと思う。


 全く、どいつもこいつも康、康と、何をどうしたいんだ?

 「自業自得だろ」

 「お嬢の意地っ張りは、三代目譲りですね」

 羽柴は、呆れたように私を見た。

 「別に、意地など張っていない」



 「それにしてもお嬢、病院とは恐ろしい所ですね?」

 「恐ろしい?」

 羽柴から、そんな言葉が出てくるなんて意外だった

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