極道に過ぎた、LOVE STORY
 ベットの上に乗ると、心肺蘇生を始める

 「康、しっかりしなさいよ! 死んだら許さない!」

 戻らない。

 「もう一回」

 まだ、戻らない。

 また、会うつもりなんてなかった。

 だけど、こんな会いかた……


 お願い戻ってきて!

 「もう一回!」

 すると、ピピッと心肺の動き出す音がした。

 「康!」


 ゆっくりと康の瞼がうっすら開いた。


 「幸……」

 「CTの準備!」


 意識は戻った。しかし、安心できる訳じゃない。

 康は、緊急の手術が必要となった。

 多少複雑だが、トモに連絡を取るのが筋だろう。



 「お嬢、兄さんは?」

 連絡したトモは、いつもの落ち着きから想像もつかない勢いでスッ飛んできた。

 「大丈夫だ。手術も無事に終わった」

 「お嬢、ありがとうございます。お嬢がいてくれて良かった」

 「おい、ここは病院だ。お嬢じゃない」

 「すみません。先生、ありがとうごいました」

 トモは深々と頭を下げた。


 康の手術を無事に終えた後、何人もの処置をした。別の病院に転院された人もいて、院内は落ち着きを戻していた。

 「悪かったね。帰国早々に助かったよ。実習から五年だものな。しかもアメリカで経験積んで気来たんだから、判断力もつくわけだ」

 患者さんのバイタルを確認する横で、山田先生が言った。

 「まだまだです。ここでの経験があったから、外科医になろうと思ったんです」


 「あれ、もしかして、俺に憧れてた?」

 「ははっ」

 笑って誤魔化したが、やはり山田先生の腕は凄いと思う。


 「しかし、まさかこの男がこのタイミングで運ばれてくるとはね。ずっと、顔出してなかったから、心配はしていたんだ」

 山田先生が、ICUのベッドに眠る康の顔を覗いた。

 「そうですか……」

 ここにも顔を出していなかったのか……

 山田先生が医局に戻ると、康の眠るベッドの隣の椅子に腰を下ろした。



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