極道に過ぎた、LOVE STORY
 「幸も本当、頑固よね」

 昼もとっくに過ぎていたが食堂で一緒になった玲香が言った。矢澤さんも同じテーブルに座った。

 「頑固ぐらいでないと、医者は務まらない」

 「そうじゃなくてさ、女として頑固は可愛くないよ。もう、そろそろ許してあげたら?」

 「許すとかじゃない。もう、昔の事。忘れた」

 「はあー まあいいけど。康じゃなくて、片山さんだっけ?は、どうなんだろうね? トモさんも心配してたよ」

 「えっ? 玲香、トモと連絡とってんの?」

 「うふっ。私は、素直な女子ですの。素直にならないと、もーっと後悔したりして」

 玲香が、頬に手を当てて意味ありげに私を見た。


 「ところで、なんで玲香がこの病院にいるのよ?」

 「幸がアメリカから戻ったら花岸病院に務めるので転職しますって矢澤さんが言ってきたのよ。それなら、幸より先にここに来ようかなと思って連絡したら、小児科医が欲しいと思っていたらしくて、即採用」

 玲香は自慢げに言った。

 「長岡医院長、反対しなかったのか?」

 「ぜーんぜん。幸と働きたいって言ったら、しっかり勉強して来なさいって」

 「私は、止めたんですよ。でも、幸先生と一緒の方が面白そうとか言って。私は、幸先生の味方になるために来たんですからね」

 矢澤さんは、ガッツポーズを見せた。

 「はいはい。今更、味方も敵もいないけどね」

 「いいんです。幸先生の味方でいることが私の生きるエネルギーなんですから」

 「そのエネルギー他に使かったら?」

 玲香が呆れたように言った。


 それでも、この二人と働ける事は、私にとって楽しみでもあり、大きな安心感に包まれる。


 すると、ポケットのピッチが鳴った。

 『幸先生! 三○三の片山さんの姿が見えないんです』

 「えっ。分かりました。こちらも探します」

 「どうしたの?」

 「居なくなった」


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