エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
はじめて拓海を見た大学一年の春。

わたしの中で王子様として影から眺めていたころ。

そしていつの間にか会う様になって、彼氏になった。

コミュ障だったわたしを救ってくれた本当の王子様。

離れられるわけない。


拓海の手を握ったまま涙がハラハラと流れてきて、あまりにも汚いと思って、バッグの中からハンカチを取り出そうと身をかがめたら、頭の上で声がした。

「由莉愛…」

「拓海」

慌てて顔をあげる。

「なんで来たんだよ。帰りな。由莉愛の居場所はここじゃないよ」

弱々しくふふっと寂しそうな笑みをうかべる。

その瞳の中にはわたしへの愛情があふれていると思った。
ベッドで見つめているときと同じ瞳。

とてもやさしい、王子様の瞳。
< 272 / 301 >

この作品をシェア

pagetop