早河シリーズ第二幕【金平糖】
『家出した高山有紗の居所も佐伯は有紗の携帯をハッキングして常に彼女の居場所を掴んでいた。だが表向きは教師として有紗を捜すフリをしなくてはならない』
『そこでスパイダーが俺に依頼しろと……いや、スパイダーではなく貴嶋の差し金でしょうね』
『まさか有紗が母親捜しを依頼するとは佐伯も考えもしなかったようだ』
『佐伯の計画を破綻させたのは俺ではなく、母親に会いたいと望んだ有紗のワガママだったんですよ』

 やりきれないこの想いはどこにもぶつけようがない。
有紗はなぎさの家で一日中ベッドに臥《ふ》せっている。食欲がなく何も食べていないとなぎさが心配していた。

 明日には高山政行がロシアから帰国する。
美晴を失った彼らは今後、義理の父と娘としてどのように向き合っていくのだろう。

 血の繋がりも確かに大事だ。しかしそれ以上に大切なものが人と人の間にはある。

血の繋がりがある親子だとしても希薄な親子関係は存在する。現にMARIAに所属していた少女達は実の親の愛情を充分に得られず、親から愛されないからこそ他者の愛情を欲した。

 血縁関係だけが家族を繋ぐ要素ではない。血の繋がりがありながら関係が希薄な親子もいれば、実の親子ではなくとも、時には血の繋がり以上に濃い信頼関係を築きもする。

 父の友人であり現在は後見人の立場にいる武田財務大臣と早河がそうであるように。
高山政行と有紗の父娘もそうであって欲しいと、早河は願った。
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