早河シリーズ第二幕【金平糖】
 岩田と熊井は休憩30分オプション付きコースを選んだ。説明を終えた店員が下がり、熊井は注文したソフトドリンクを飲みながら店内を見回した。
綺麗所が揃っていると岩田が言っていた意味がわかった。可愛い子が多い。

『オプションってつまりそういうことですよね』
『他に何があるんだよ。30分コースのみじゃ出来てもせいぜいあそこまでだ』

 岩田が前方の席を指差した。中年の男がチャイナドレスの少女に膝枕をしてもらっている。その隣の席ではセーラー服の少女と小太りの男がキスをしていた。

『ここで触るのはいいんですか?』
『お触りは服の上からならOK、あとはオプションでってこと』

セーラー服の少女の胸元に男が手を触れた。胸を揉まれても少女はきゃっきゃと笑って二人はまたキスをしている。

まだ指名した二人の少女が来ない熊井と岩田はいちゃつく男と女を羨ましげに眺めた。
どこまでもここは男と女の楽園だ。

『Makoはお前の大学の時の元カノに似てるよな。なんだっけ名前……ミカ?』
『ミサです。似ていたので勢いで選んでしまったんですけど』

 照れる熊井の横で岩田はほくそ笑む。熊井はいまだに元カノのミサの正体を知らないままのようだ。

熊井はミサを純情な女と信じきっているが、実はミサがあの頃付き合っていたのは熊井だけではない。岩田もミサとは何度か関係を持っていた。
ミサはサークル内では有名な小悪魔だ。熊井はそのサークルには所属していなかったから真実を知らないのだろう。

(知らない方が幸せなこともあるって言うが、クマの頭は相変わらず花畑だな)

 岩田の心の呟きを知らない熊井は自分が予想以上にこれからの展開を楽しみにしていることに気付いた。
人生で一番好きだった元カノに似た少女に会ってみたい。もう一度あの快感を味わってみたい。
熊井の心は躍っていた。
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