早河シリーズ第二幕【金平糖】
 品川の高層ビルのフロアでは午前中から二葉書房主催のイベントが行われている。イベントは午後5時に終了し、関係者が次々と会場から出ていく。

 二葉書房文芸部に勤める金子拓哉は人混みの中でなぎさの姿を見つけ、彼女に駆け寄った。なぎさは受付の片付けをしている。

『香道さんお疲れ様』
「お疲れ様です」
『この後、うちの連中と軽い打ち上げやるんだけどよかったら一緒に来ない?』
「いいんですか? 私は社員じゃないのに……」
『香道さんならみんな大歓迎だよ。片付け俺も手伝うね。早く終わらせて打ち上げ行こう』

金子は積み上げられた段ボールをエレベーターまで運んでいく。なぎさは腕時計で時間を確認した。有紗は今頃どうしているだろう?

(打ち上げ行くなら有紗ちゃんに連絡しないと……。夜ひとりで大丈夫かな)
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