聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「陛下……?」
「……すまない。起こしてしまったか……」
「いえ……。それは、問題ないのですが……。お召し替えを……」
「これは罰だ」
「仰っている意味が、よく……」
「君を傷つけた」
「それは……」
フリジアが真っ先に思い浮かべたのは、先程の光景だ。
姉から聖女の座を奪い取った妹が、セドリックと口付けを交わす姿――。
(どうしてこんなにも、胸が締め付けられるのか……)
それを思い出すだけでも耐え難い苦痛が全身に駆け巡ると知った彼女は、瞳から大粒の涙を溢れさせた。
「一度失望された状態では、信じてくれと懇願しても難しいだろう」
「陛下……」
「俺のことは、嫌ってくれて構わない。軽率な行動をして君を傷つけたのは事実だからな」
「がう……」
狼が彼に寄り添いしょんぼりと尻尾を床につけた様子を目にして、フリジアは悲しんでいる場合ではないと目元を手で擦る。
(妹と本当に口付けを交わしたのであれば、狼があんな風に彼へ懐くはずがない……)
彼に裏切られたと泣き叫ぶのは、セドリックと言葉を交わし合ってからでも遅くはない。
泣き腫らした瞳で彼を見上げたフリジアは、口元を綻ばせると彼を誘った。
「……すまない。起こしてしまったか……」
「いえ……。それは、問題ないのですが……。お召し替えを……」
「これは罰だ」
「仰っている意味が、よく……」
「君を傷つけた」
「それは……」
フリジアが真っ先に思い浮かべたのは、先程の光景だ。
姉から聖女の座を奪い取った妹が、セドリックと口付けを交わす姿――。
(どうしてこんなにも、胸が締め付けられるのか……)
それを思い出すだけでも耐え難い苦痛が全身に駆け巡ると知った彼女は、瞳から大粒の涙を溢れさせた。
「一度失望された状態では、信じてくれと懇願しても難しいだろう」
「陛下……」
「俺のことは、嫌ってくれて構わない。軽率な行動をして君を傷つけたのは事実だからな」
「がう……」
狼が彼に寄り添いしょんぼりと尻尾を床につけた様子を目にして、フリジアは悲しんでいる場合ではないと目元を手で擦る。
(妹と本当に口付けを交わしたのであれば、狼があんな風に彼へ懐くはずがない……)
彼に裏切られたと泣き叫ぶのは、セドリックと言葉を交わし合ってからでも遅くはない。
泣き腫らした瞳で彼を見上げたフリジアは、口元を綻ばせると彼を誘った。