聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「妹と……親しい仲になったのですか……」
「誤解だ」
「私は、お二人が……口付けを交わし合っているように見えました……」
「……リエルル公爵令嬢以外には、そう受け取られても構わなかった」
「だから、受け入れたのですか……」
「……ああ。俺は自ら手を汚すことを恐れたんだ。君に失望されたくなかった」
セドリックがその手で人々を屠る姿を、フリジアは目にしたことがない。
それは彼が心優しいからだと考えていた彼女にとって、その告白は意外なものに移り――思わず問いかけてしまった。
「私に嫌われるのが、嫌なんですね……」
「そうだ」
「それは、なぜですか……?」
「リリエル公爵令嬢を、愛しているからだが」
彼がフリジアに想いを伝えた瞬間。
セドリックの腕に抱きかかえられていた狼が両手を伸ばし、ペチペチとベッドに横たわる動物達の頬を叩く。
「わふ?」
「めぇ~」
「がうう」
目覚めた羊と犬を伴った狼は、すっかり晴れ渡った空の下を目指して、施錠が解除されていた窓から飛び降りてどこかへ消えてしまった。
「誤解だ」
「私は、お二人が……口付けを交わし合っているように見えました……」
「……リエルル公爵令嬢以外には、そう受け取られても構わなかった」
「だから、受け入れたのですか……」
「……ああ。俺は自ら手を汚すことを恐れたんだ。君に失望されたくなかった」
セドリックがその手で人々を屠る姿を、フリジアは目にしたことがない。
それは彼が心優しいからだと考えていた彼女にとって、その告白は意外なものに移り――思わず問いかけてしまった。
「私に嫌われるのが、嫌なんですね……」
「そうだ」
「それは、なぜですか……?」
「リリエル公爵令嬢を、愛しているからだが」
彼がフリジアに想いを伝えた瞬間。
セドリックの腕に抱きかかえられていた狼が両手を伸ばし、ペチペチとベッドに横たわる動物達の頬を叩く。
「わふ?」
「めぇ~」
「がうう」
目覚めた羊と犬を伴った狼は、すっかり晴れ渡った空の下を目指して、施錠が解除されていた窓から飛び降りてどこかへ消えてしまった。