聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「……とても素敵な誘いではありますが、妹のように接するのは、難しいかと思います……」
「なぜだ」
「私の姉妹は、あの子だけですから……」
彼女は再び沈んだ表情でセドリックから視線を逸らすと、どこか遠くを見つめる。
そんな様子を目にした彼は、低い声でフリジアに問いかけた。
「まだあの女を、家族だと思えるのか」
「憎しみ合っていたとしても、血の繋がりは切り離せませんから……」
彼に失望されるのが恐ろしくて――フリジアは再び、嘘をつく。
「厄介だな。他人であれば、剣で斬り伏せればそれで終わると言うのに……」
物騒なことを口にするセドリックを止めない代わりに、彼女は視線を窓の外へ移した。
フリジアのモヤモヤとした気持ちを代弁するかのように、空には雲が広がっている。
「陛下が自ら手を汚さなくとも……。妹にはいずれ、天の裁きが下るでしょう……」
「どうだかな」
二十年間、神はフリジアが虐げられるのを空から黙って見守り続けていた。
いるかもわからぬ天上人に祈りを捧げ、悪しき人間に天罰が下るようにと祈りを捧げるくらいなら――自らの手で屠ったほうが早いとでも言いたそうだ。
「なぜだ」
「私の姉妹は、あの子だけですから……」
彼女は再び沈んだ表情でセドリックから視線を逸らすと、どこか遠くを見つめる。
そんな様子を目にした彼は、低い声でフリジアに問いかけた。
「まだあの女を、家族だと思えるのか」
「憎しみ合っていたとしても、血の繋がりは切り離せませんから……」
彼に失望されるのが恐ろしくて――フリジアは再び、嘘をつく。
「厄介だな。他人であれば、剣で斬り伏せればそれで終わると言うのに……」
物騒なことを口にするセドリックを止めない代わりに、彼女は視線を窓の外へ移した。
フリジアのモヤモヤとした気持ちを代弁するかのように、空には雲が広がっている。
「陛下が自ら手を汚さなくとも……。妹にはいずれ、天の裁きが下るでしょう……」
「どうだかな」
二十年間、神はフリジアが虐げられるのを空から黙って見守り続けていた。
いるかもわからぬ天上人に祈りを捧げ、悪しき人間に天罰が下るようにと祈りを捧げるくらいなら――自らの手で屠ったほうが早いとでも言いたそうだ。