【Quintet】
 追加で天ぷらの盛り合わせを頼んだのは海斗と晴、おむすびを頼んだのは星夜、悠真はいなり寿司を頼んでいた。
注文する料理にも四人の個性が窺える。

『でもなんでジーンズの工場なんだろうな?』

 とんかつを所望していた晴は肉うどんをすすりながら天ぷらを頬張っている。早朝出発だったこともあり、誰もが空腹を感じていた。

沙羅もうどんだけではなく、悠真が分けてくれたいなり寿司や海斗がくれた天ぷらを食していた。

『俺も意外だった。純夜は服には興味なかったのに』
『ジーンズの工場で働くつもりで岡山に来たのかはわからないが、国内のジーンズはここで作られているらしい』

 悠真が岡山のガイドブックのページをめくる。

 純夜の職場はジーンズの製造工場。倉敷は江戸時代、綿花や米の集散地として栄えた天領(幕府の直轄地)の町。

綿の集荷の中心だった倉敷、玉島、児島は繊維産業の発展を支え、児島は国産ジーンズの聖地と呼ばれている。
これから向かう純夜の職場も所在地は児島《こじま》だ。

「純夜さんはどんな人なの?」
『見た目は瞳の色が違うだけで俺とそっくりだよ。でも性格は真逆』
『純夜の方が堅物だよな』

海斗の発言に星夜は苦笑い。

『純夜の堅物は親父似。瞳も性格も親父似と母さん似で真っ二つに分かれちゃったんだ』

沙羅には兄弟姉妹がいないからわからないが、純夜と星夜の双子の間には複雑で曖昧なままのシコリがあるのだろう。
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