【Quintet】
『そこに倉敷の一流ジーンズの製造技術のある純夜が入って、生産部門を仕切ってくれたら最高のジーンズブランドが出来上がると思うんだ。これは親父のプランだけど俺も異存はない。純夜さえよければ、俺が社長になった時には東京に戻ってうちの会社で働いて欲しい。次期社長直々の引き抜きの話だ。有り難く思えよ』

 純夜は目を見開いて何度もまばたきをしていた。星夜の言葉を噛み締めた彼は汗の浮かぶ浅黒い顔を掻いた。

『まさかYUUKIインターナショナルで働けと言われるとは思わなくて……びっくりしてる』
『俺だって最初に親父からこのプラン聞かされた時は戸惑ったし、クソ親父ぶん殴ってやりたかった。俺達は親父の手のひらで3年間踊らされていただけだった』
『まったくだ……』
『だから俺を身代わりにしたとか、負い目感じなくていい。親父もお前よりは俺の方が性格的に社長に向いてると思ったから俺に継がせるんだって言ってた。純夜は純夜のやりたいようにやれよ。それでいつか、うちに帰って来い』

 本当に言いたかった言葉をようやく言えた。双子の兄弟が作る会社の未来。星夜が思い描くYUUKIインターナショナルグループの未来には純夜がいた。

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