【Quintet】
 滑らかなシャンパン色のアイスの表面をすくって口に運ぶと芳醇なアールグレイの香りが口内に広がる。

「んー! 美味しいーっ!」
『ほんと幸せそうに食べるよな……』

アイスを堪能する沙羅を海斗は呆れ顔で眺めていた。コンビニの駐車場で星夜を待つ間、退屈しのぎに買ってきたアイスはロイヤルミルクティー味。

「だって新作のロイヤルミルクティーだよ! 7月に発売したのに東京ではコンビニもスーパーも売り切ればかりで、岡山で初めて出会えた……奇跡……嗚呼……運命の出会い……」
『はいはい、良かったですねー』

海斗が食べているアイスも同じメーカーのラムレーズン味。ラムレーズンアイスもロイヤルミルクティー味と共に売り切れ状態の幻の商品だ。

「……ラムレーズン美味しい?」
『まぁまぁ。……なんだよその無言の圧力』

 二列目の座席にいる沙羅の視線は三列目の座席の海斗の手元に注がれる。ロイヤルミルクティーとラムレーズン、散々迷ってロイヤルミルクティーを選んだが、人が食べているとやっぱりラムレーズンも美味しそうに見える。

「ひとくちだけ……」
『口移しでいいなら』

海斗の見事な反撃に沙羅は撃沈した。悠真と晴はこの暑さなのに外に出て、コンビニの軒先で一服している。
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