【Quintet】
「ねぇ……私と悠真って……」

沙羅がその先を言いかけた時……

『可愛い可愛い沙羅はっけーん!』
『二人は何か買ったー?』

 星夜と晴の登場によって沙羅が言いかけた言葉は封じられた。星夜と晴に絡まれて、迷惑そうに、でも楽しそうにはしゃぐ悠真を見て彼女は肩を落とす。

沙羅の一大決心は不発に終わった。子どもの頃に自分達は会っていたのか聞くだけのことが、どうしてこんなに難しい?
漏れた溜息は残念の溜息? それとも安堵の溜息?

 そのまま四人で行動しているとジーンズショップの袋を提げた海斗と合流した。星夜と海斗はSky Blueのジーンズを、晴と悠真も別々のショップでジーンズやデニムジャケットを購入。
それぞれがお気に入りの一着を見つけた五人は仲良く駐車場までの道を辿った。

 児島ジーンズストリートを出発した一行は純夜との待ち合わせ場所の喫茶店に向かった。
純夜が指定した喫茶店は白い壁に大きな窓、白と緑のストライプ柄のひさしにはカタカナでエンジェルリーフと書いてある。

約束の5時半にはまだ早い。五人は中で入って純夜を待つことにした。

『いらっしゃい。お好きな席にどうぞ』

 白髪の店主がカウンターの向こうで迎えてくれる。飴色のカウンターには新聞を広げる紳士がひとり、外観も内装も昔ながらの喫茶店だ。
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