【Quintet】
『とにかく。LARMEの頃からの俺達の夢だった武道館でのライブがようやく出来る。わかってるだろうが待ったはナシだ。ここまで来たからには全力でやるぞ。12月に俺達が音楽の歴史を創るんだ』

 悠真、晴、海斗、星夜。四人の輝く瞳を見ていた沙羅の視界がじわりと滲んだ。

『沙羅っ? どうした! なんで泣いてるんだよぉ!』
「だって……皆の夢が叶うって思ったら……嬉しくて……」

 沙羅の涙に気付いた晴が使っていないおしぼりを彼女に差し出した。自然と溢れ落ちる涙がおしぼりに染み込む。

『沙羅ー! 泣くなら晴じゃなくて俺の胸においで!』
『星夜……。せっかくの感動の雰囲気がお前の軽さで台無しだ。……って、桜っ! お前まで泣いてどうするんだ!』

沙羅の涙に桜がもらい泣き。五人の男に囲まれて二人の女が嬉し泣きしている。

『沙羅につられて桜ちゃんまで泣いちゃった。俺と純夜は似たような子を好きになったのかもね』

 沙羅を抱き締めていた星夜が彼女の額にキスをした。驚いた沙羅が顔を上げるとフェロモン駄々漏れの王子が満足げに笑っている。

『涙止まったね』

額に手を当てて抗議のつもりで星夜を睨んでみたけれど無駄な抵抗。フェロモンプリンスの魔性の微笑みには勝てなかった。
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