【Quintet】
初めて飲んだミモザの味はまさにオレンジジュース。でもそこにシャンパンが加わることで子どもっぽさが消えた、大人のオレンジジュースだった。
二人きりの夜。密やかに交わす会話は周囲には聞こえない。
過去の話を切り出すなら今だった。
『ジーンズストリートにいた時、何か言いかけなかった?』
仕掛けたのは悠真だった。不意討ちの攻撃に狼狽した沙羅は彼の顔を直視できない。
グラスを傾けて、琥珀色の液体を喉に流す悠真の喉仏が艶かしかった。
「……私、音を聴くと音の色が頭に浮かぶの」
『色聴だね』
「うん。幼稚園の頃にお母さんのヴァイオリン教室に二人の男の子がいたんだ。兄弟で、お兄さんがゆうくんで弟がカイくん。ゆうくんはお母さんにヴァイオリンを習っていて、ゆうくんの音色は澄んだ水色だった」
思い出に流れてくるヴァイオリンのメロディ。あの水色のメロディはエーデルワイスだ。
「悠真のギターの音色もゆうくんの色と同じ色なの。綺麗な、澄んだ水色……」
『やっと思い出してくれた?』
耳に届く柔らかな声はヴァイオリンのメロディと同じ澄んだ水色。沙羅を優しく包む彼の眼差しはあの頃と少しも変わらない。
二人きりの夜。密やかに交わす会話は周囲には聞こえない。
過去の話を切り出すなら今だった。
『ジーンズストリートにいた時、何か言いかけなかった?』
仕掛けたのは悠真だった。不意討ちの攻撃に狼狽した沙羅は彼の顔を直視できない。
グラスを傾けて、琥珀色の液体を喉に流す悠真の喉仏が艶かしかった。
「……私、音を聴くと音の色が頭に浮かぶの」
『色聴だね』
「うん。幼稚園の頃にお母さんのヴァイオリン教室に二人の男の子がいたんだ。兄弟で、お兄さんがゆうくんで弟がカイくん。ゆうくんはお母さんにヴァイオリンを習っていて、ゆうくんの音色は澄んだ水色だった」
思い出に流れてくるヴァイオリンのメロディ。あの水色のメロディはエーデルワイスだ。
「悠真のギターの音色もゆうくんの色と同じ色なの。綺麗な、澄んだ水色……」
『やっと思い出してくれた?』
耳に届く柔らかな声はヴァイオリンのメロディと同じ澄んだ水色。沙羅を優しく包む彼の眼差しはあの頃と少しも変わらない。