【Quintet】
「やっぱり、ゆうくんとカイくんは……悠真と海斗?」
『そうだよ。俺は美琴先生にヴァイオリンを習っていた。レッスンに海斗もついてきて、そこで俺達は5歳の沙羅と出逢ったんだ』
最後のピースが嵌まって完成した記憶のパズルは二人の男の子の側で笑う少女の絵。
「どうして忘れていたんだろう。ゆうくんとカイくんのことを思い出したのも悠真達と同居してからなの。悠真の演奏がゆうくんの音の色と同じで、海斗の瞳はカイくんと似ていて……。今まで忘れていたなんて」
『……10年前のお母さんの事故の後に沙羅は記憶を失くしていたんだ』
語られた衝撃的な真実は沙羅を動揺させた。悠真が静かに語り出す。
『幼少期の記憶は誰でも忘れる。だけど沙羅は5歳から6歳までの限定された期間の記憶があまりないだろう?』
「思い出せるのはお母さんのヴァイオリンを聴いていたことや幼稚園の友達のこととか……それくらい」
『美琴先生の葬儀には俺と海斗もいたんだ。今も覚えてる。あの時の沙羅はずっと泣いてた。俺と海斗は沙羅が心配で……』
言葉を詰まらせた悠真はアドニスを飲み干した。彼は空になったグラスを店員に向けて掲げる。
沙羅のグラスにはまだオレンジ色のミモザが残っていて、悠真だけが二杯目を注文した。
『側に来た俺達を見ても沙羅は無反応だった。昔一緒に遊んだ悠真と海斗だよと言っても、知らないと言って沙羅はまた泣き出してしまった』
「ごめんなさい。二人を傷付けたよね……」
『いいんだ。俺達の悲しみよりも母親を亡くした沙羅の悲しみはもっと大きい。沙羅の症状はお母さんを亡くしたショックから来る一時的な記憶障害だったらしいよ。俺達と暮らし始めてから徐々に記憶が戻ってきたんだね』
途切れた会話の隙間に悠真のグラスが運ばれた。グラスに入る酒は濃いオレンジ色。
『そうだよ。俺は美琴先生にヴァイオリンを習っていた。レッスンに海斗もついてきて、そこで俺達は5歳の沙羅と出逢ったんだ』
最後のピースが嵌まって完成した記憶のパズルは二人の男の子の側で笑う少女の絵。
「どうして忘れていたんだろう。ゆうくんとカイくんのことを思い出したのも悠真達と同居してからなの。悠真の演奏がゆうくんの音の色と同じで、海斗の瞳はカイくんと似ていて……。今まで忘れていたなんて」
『……10年前のお母さんの事故の後に沙羅は記憶を失くしていたんだ』
語られた衝撃的な真実は沙羅を動揺させた。悠真が静かに語り出す。
『幼少期の記憶は誰でも忘れる。だけど沙羅は5歳から6歳までの限定された期間の記憶があまりないだろう?』
「思い出せるのはお母さんのヴァイオリンを聴いていたことや幼稚園の友達のこととか……それくらい」
『美琴先生の葬儀には俺と海斗もいたんだ。今も覚えてる。あの時の沙羅はずっと泣いてた。俺と海斗は沙羅が心配で……』
言葉を詰まらせた悠真はアドニスを飲み干した。彼は空になったグラスを店員に向けて掲げる。
沙羅のグラスにはまだオレンジ色のミモザが残っていて、悠真だけが二杯目を注文した。
『側に来た俺達を見ても沙羅は無反応だった。昔一緒に遊んだ悠真と海斗だよと言っても、知らないと言って沙羅はまた泣き出してしまった』
「ごめんなさい。二人を傷付けたよね……」
『いいんだ。俺達の悲しみよりも母親を亡くした沙羅の悲しみはもっと大きい。沙羅の症状はお母さんを亡くしたショックから来る一時的な記憶障害だったらしいよ。俺達と暮らし始めてから徐々に記憶が戻ってきたんだね』
途切れた会話の隙間に悠真のグラスが運ばれた。グラスに入る酒は濃いオレンジ色。