【Quintet】
完全なプライベートスペースに入ったところでまた海斗が口を開く。
『帰りの車で不破さんに聞いた。UN-SWAYED抜けるって言ったのは冗談だよな?』
無言の星夜に海斗の苛つきは治まらない。
『おい星夜。なんとか言えよ』
『ごめん』
『……なんで謝る?』
『俺と付き合いの長いお前が一番よくわかってるだろ。親父は最初からデビューに反対してた。それでも俺は親父に反抗してデビューして1年続けてきたけど……純夜《じゅんや》がいない今、俺が親父の会社を継ぐしかないんだ』
『だから……辞めるのか?』
悲しみに歪む海斗の顔を見ていられなくて星夜は目をそらした。親友の海斗にそんな顔をさせたくないのに、苦しめたくないのに。
「……どうしたの?」
通路で話す二人の声が聞こえたのか、沙羅が玄関から顔を出した。
「海斗、お帰りなさい。悠真と晴は?」
『ああ……あいつらはまだ仕事』
流れる気まずい空気を察した沙羅はおろおろと海斗と星夜の顔を交互に見ている。海斗も星夜も一歩も動かず家に入ろうともしない。
『沙羅、出掛けるぞ』
「え? ……ちょっと海斗っ!」
玄関に佇んでいた沙羅の腕を掴んだのは海斗だ。彼は強引に沙羅を連れて通路を引き返していった。
通路から消える二人を見送った星夜は開けっ放しの玄関から中に入った。飲みかけの紅茶を淹れたマグカップ、読みかけの雑誌、ぬくもりの残るソファー、ついさっきまで沙羅がここにいた気配がリビングに残っている。
中途半端に気まずい空気に加えて沙羅を海斗に連れ去られてしまったけれど、これでよかった。
沙羅との距離が近付けば近付くほど、サヨナラは辛くなる。だから……これでいい。
『帰りの車で不破さんに聞いた。UN-SWAYED抜けるって言ったのは冗談だよな?』
無言の星夜に海斗の苛つきは治まらない。
『おい星夜。なんとか言えよ』
『ごめん』
『……なんで謝る?』
『俺と付き合いの長いお前が一番よくわかってるだろ。親父は最初からデビューに反対してた。それでも俺は親父に反抗してデビューして1年続けてきたけど……純夜《じゅんや》がいない今、俺が親父の会社を継ぐしかないんだ』
『だから……辞めるのか?』
悲しみに歪む海斗の顔を見ていられなくて星夜は目をそらした。親友の海斗にそんな顔をさせたくないのに、苦しめたくないのに。
「……どうしたの?」
通路で話す二人の声が聞こえたのか、沙羅が玄関から顔を出した。
「海斗、お帰りなさい。悠真と晴は?」
『ああ……あいつらはまだ仕事』
流れる気まずい空気を察した沙羅はおろおろと海斗と星夜の顔を交互に見ている。海斗も星夜も一歩も動かず家に入ろうともしない。
『沙羅、出掛けるぞ』
「え? ……ちょっと海斗っ!」
玄関に佇んでいた沙羅の腕を掴んだのは海斗だ。彼は強引に沙羅を連れて通路を引き返していった。
通路から消える二人を見送った星夜は開けっ放しの玄関から中に入った。飲みかけの紅茶を淹れたマグカップ、読みかけの雑誌、ぬくもりの残るソファー、ついさっきまで沙羅がここにいた気配がリビングに残っている。
中途半端に気まずい空気に加えて沙羅を海斗に連れ去られてしまったけれど、これでよかった。
沙羅との距離が近付けば近付くほど、サヨナラは辛くなる。だから……これでいい。