【Quintet】
海斗に手を引かれた沙羅はマンションを出て夜の通りを歩いている。
掴まれていた腕はエレベーターを乗る時に離され、代わりに海斗の手が沙羅の手と繋がれた。指と指が絡まるこの繋ぎ方は俗に言う、恋人繋ぎだ。
突然の事態に混乱する沙羅はうつむきがちに海斗の隣を歩いていた。
「……くしゅんっ」
沙羅の口からお世辞にも可愛らしいとは言えないくしゃみが飛び出した。
海斗と星夜の話し声が聞こえて玄関から顔を覗かせていただけだった沙羅はわけもわからずに海斗に連れ出され、上着も羽織っていない。
握っていた手の体温が消えたと思えば、肩に温かさを感じた。
『それ羽織ってろ』
「えっ、いいよ。そんなに寒くないし……」
『俺が着てろって言ったらおとなしく着とけばいいんだよ』
ぶっきらぼうな言い方も素っ気ない態度もいつもと同じ。けれど海斗が着ていた薄手のジャケットは優しいぬくもりに包まれていた。
「……ありがと」
小柄な沙羅には海斗のジャケットは大きすぎてぶかぶかだ。彼の名前と同じ、海を感じさせるマリン系の香水の香りからはターコイズブルーの色をした雄大な海の風景が浮かぶ。
掴まれていた腕はエレベーターを乗る時に離され、代わりに海斗の手が沙羅の手と繋がれた。指と指が絡まるこの繋ぎ方は俗に言う、恋人繋ぎだ。
突然の事態に混乱する沙羅はうつむきがちに海斗の隣を歩いていた。
「……くしゅんっ」
沙羅の口からお世辞にも可愛らしいとは言えないくしゃみが飛び出した。
海斗と星夜の話し声が聞こえて玄関から顔を覗かせていただけだった沙羅はわけもわからずに海斗に連れ出され、上着も羽織っていない。
握っていた手の体温が消えたと思えば、肩に温かさを感じた。
『それ羽織ってろ』
「えっ、いいよ。そんなに寒くないし……」
『俺が着てろって言ったらおとなしく着とけばいいんだよ』
ぶっきらぼうな言い方も素っ気ない態度もいつもと同じ。けれど海斗が着ていた薄手のジャケットは優しいぬくもりに包まれていた。
「……ありがと」
小柄な沙羅には海斗のジャケットは大きすぎてぶかぶかだ。彼の名前と同じ、海を感じさせるマリン系の香水の香りからはターコイズブルーの色をした雄大な海の風景が浮かぶ。