【Quintet】
「星夜と喧嘩したの?」

 ファミレスやビジネスホテル、商業施設が建ち並ぶ渋谷の公園通りを手を繋いで歩いた。

『喧嘩ってほどでもない。仕事のことで言い合いになっただけ。心配するな』
「うん……」
『別に沙羅を除け者にしてるんじゃないから。皆、沙羅には笑ってて欲しいんだ。心配かけること言って沙羅が落ち込むの見たくないだけ。俺も沙羅にはいつも笑顔でいて欲しいし……』

立ち止まった海斗の初めて見る真剣な眼差しに射貫《いぬ》かれる。熱っぽい瞳から目がそらせない。

「海斗……?」
『……コンビニ入るぞ』

 ふいと視線をそらした海斗は目の前のコンビニに足を向けた。沙羅の心拍は過去最高に速くなっている。

海斗といい星夜といい、今夜は変だ。からかわれているとしか思えない。

(わかった。二人とも私をからかって慌てる私を見て面白がってるんだ。次にフェイント攻撃されたら冷静にかわしてやる!)

 鼻息荒くコンビニに入った沙羅を待ち受けていたのは新作スイーツのパレード。甘いもの好きな沙羅には天国だ。

『いつまで選んでるんだよ』
「だって……どっちも美味しそうですごぉーく悩むんだもん」

ふわふわ天使のストロベリーチーズケーキか大人の抹茶ティラミス、どちらにしようか悩む沙羅の隣で海斗が呆れていた。

『大人の抹茶ティラミス? ガキにはまだ早い。こっちにしろよ』

 海斗が沙羅の手からティラミスを取り上げてストロベリーチーズケーキをカゴに入れた。究極の選択を勝手に決められた不満はあっても、財布を持っていない沙羅には文句は言えない。
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