【Quintet】
 しかし不貞腐れて彼女がコンビニを一周した時には海斗が持つカゴに大人の抹茶ティラミスも入っていた。

(ティラミスは自分の分って言ってたけど、甘いもの苦手な海斗が食べるとは思えないのよね。私のかな?)

 結局、ふわふわ天使のストロベリーチーズケーキも大人の抹茶ティラミスも両方購入した袋を提げてコンビニを後にした。
帰りも二人は手を繋いでいる。

『星夜もそのうち沙羅に話すと思う。だから今は詮索しないでやってくれるか?』
「わかった」
『それと今日の夕飯二人だけだったみたいだけど、星夜に何もされなかったよな?』
「へっ?」

目を泳がせて挙動不審な沙羅の様子にすぐさま何かを察した海斗は意地悪く微笑んだ。

『ふーん。なんかされたんだ?』
「いや……抱き締められただけで……」
『こんな風に?』

 ふわりと海の薫りが濃くなる。繋いでいた手を離した海斗は片手で沙羅を抱き寄せた。

星夜とはまた違う、男の胸元。優しく髪を撫でる手つきがむず痒い。
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