【Quintet】
父親との苦痛でしかない朝食を済ませた星夜は待機していた結城家専用の車に乗り込んだ。
『お前が俺の専属秘書になるんだって? 新卒での大抜擢じゃん』
運転席にいる黒木秀一は父親の部下の息子で星夜と同じ年。互いに先月までは大学生だった身分だ。
『はい。宜しくお願いいたします。星夜さま』
『シュウ。二人の時はいつも通りにしろよ。お前からの様付けは気味悪りぃ』
大学時代もプライベートでつるんでいた秀一はこの牢獄でのたったひとりの理解者。ミラー越しに秀一と目が合った。
『じゃ、遠慮なく。星夜、本当にいいのか? このままだとバンド辞めることになるんだぞ』
『純夜が家出してから、いつかはこうなるって覚悟してた。今さら足掻いても状況は変わらねぇよ。親父の言うことは絶対、だ』
動き出した車が向かう先は星夜の所属事務所、エスポワール。今日は午前中にセカンドアルバムの特典に付くミュージックビデオの打ち合わせがある。
『確かに社長には逆らえないが、こんな仕打ちあんまりだ。お前ら兄弟は二人とも家に縛られてさ。俺は親父が重役にまでなってるけど、所詮はサラリーマン家庭だから星夜の背負ってるものをわかってやることはできないよ。でもやりきれねぇよ……』
『秘書をシュウにしてくれたことだけは親父に感謝だな。ありがとな』
秀一の気持ちだけで充分だ。
逃れられない未来は受け入れるしかない。3年前から、諦めていたことだった。
『お前が俺の専属秘書になるんだって? 新卒での大抜擢じゃん』
運転席にいる黒木秀一は父親の部下の息子で星夜と同じ年。互いに先月までは大学生だった身分だ。
『はい。宜しくお願いいたします。星夜さま』
『シュウ。二人の時はいつも通りにしろよ。お前からの様付けは気味悪りぃ』
大学時代もプライベートでつるんでいた秀一はこの牢獄でのたったひとりの理解者。ミラー越しに秀一と目が合った。
『じゃ、遠慮なく。星夜、本当にいいのか? このままだとバンド辞めることになるんだぞ』
『純夜が家出してから、いつかはこうなるって覚悟してた。今さら足掻いても状況は変わらねぇよ。親父の言うことは絶対、だ』
動き出した車が向かう先は星夜の所属事務所、エスポワール。今日は午前中にセカンドアルバムの特典に付くミュージックビデオの打ち合わせがある。
『確かに社長には逆らえないが、こんな仕打ちあんまりだ。お前ら兄弟は二人とも家に縛られてさ。俺は親父が重役にまでなってるけど、所詮はサラリーマン家庭だから星夜の背負ってるものをわかってやることはできないよ。でもやりきれねぇよ……』
『秘書をシュウにしてくれたことだけは親父に感謝だな。ありがとな』
秀一の気持ちだけで充分だ。
逃れられない未来は受け入れるしかない。3年前から、諦めていたことだった。