【Quintet】
事務所の前には秀一の車が停まっている。
後部座席に乗り込んだ星夜に秀一が話しかけた。
『社長からの伝言。家に戻ったら話があるって』
『どうせろくでもない話だろ』
『それがさ、俺の親父が言ってたんだけど社長がお前宛に来てた縁談の話を最近になってすべて断ったんだ』
『縁談を断った? 全部?』
縁談の話があるのは前々から聞いていた。
どこかの大企業の会長の孫娘や世界的ファッショデザイナーを母親に持つ娘、会って話をしたこともない女の顔写真を嫌と言うほど見せられている。
『全部。相手はけっこうイイトコのお嬢さんばかりだったのに白紙に戻したらしい。多分、他でお前の婚約者が決定したんだよ』
『本人達の同意もなく決定かよ。俺には結婚まで自由がねぇんだな』
好きでもない相手と結婚して、義務的に子どもを作って女に産ませ、跡取りができれば星夜も女もお払い箱。
今度は跡取りの息子が結城家の道具になる。
結城冬夜にとっては星夜も嫁ぐ女も産まれてくる子どもも、息子でも嫁でも孫でもなくただの道具に過ぎない。
馬鹿馬鹿しくて抗《あらが》う気にもなれなかった。
後部座席に乗り込んだ星夜に秀一が話しかけた。
『社長からの伝言。家に戻ったら話があるって』
『どうせろくでもない話だろ』
『それがさ、俺の親父が言ってたんだけど社長がお前宛に来てた縁談の話を最近になってすべて断ったんだ』
『縁談を断った? 全部?』
縁談の話があるのは前々から聞いていた。
どこかの大企業の会長の孫娘や世界的ファッショデザイナーを母親に持つ娘、会って話をしたこともない女の顔写真を嫌と言うほど見せられている。
『全部。相手はけっこうイイトコのお嬢さんばかりだったのに白紙に戻したらしい。多分、他でお前の婚約者が決定したんだよ』
『本人達の同意もなく決定かよ。俺には結婚まで自由がねぇんだな』
好きでもない相手と結婚して、義務的に子どもを作って女に産ませ、跡取りができれば星夜も女もお払い箱。
今度は跡取りの息子が結城家の道具になる。
結城冬夜にとっては星夜も嫁ぐ女も産まれてくる子どもも、息子でも嫁でも孫でもなくただの道具に過ぎない。
馬鹿馬鹿しくて抗《あらが》う気にもなれなかった。