【Quintet】
ところかわって池袋の日本音楽大学。講義を終えた沙羅は溜息をついて大学の門を出た。
今日のピアノの音色は最悪だった。教師にも友達にも体の不調を心配されたがミスの原因は体調不良ではない。
(星夜どうしてるんだろう)
星夜にメールをしようか迷った。でも海斗からは詮索するなと言われている。
悠真に聞いた話によれば星夜には行方不明の双子の兄がいて、その兄と実家の問題が彼を苦しめているのだ。
(私にできることなんて何にもないんだよね……)
池袋から渋谷駅に出て家路を辿る。昨夜、海斗と歩いた公園通りを歩いていると後ろから声をかけられた。
『葉山沙羅さんですよね』
振り向くと上品な雰囲気の紳士が立っていた。知っている人に似ているような、そうではないような不思議な既視感。誰かに似ている?
『結城と申します。息子がお世話になっております』
「……息子さん?」
ユウキという姓は昨日も聞いた。ならばこの紳士がマンションに尋ねて来た人だろうか?
そこで沙羅はようやく思い当たった。
星夜の苗字をどうして今まで忘れていたのか。
「もしかして星夜……さんの……お父さん?」
『はい。結城星夜の父です。はじめまして』
「はじめましてっ! 葉山沙羅と申しますっ!」
道端で紳士にお辞儀をする沙羅をカフェから出てきたカップルが指差していた。恥ずかしくなり、顔を赤らめた沙羅は渡された名刺に視線を落とす。
今日のピアノの音色は最悪だった。教師にも友達にも体の不調を心配されたがミスの原因は体調不良ではない。
(星夜どうしてるんだろう)
星夜にメールをしようか迷った。でも海斗からは詮索するなと言われている。
悠真に聞いた話によれば星夜には行方不明の双子の兄がいて、その兄と実家の問題が彼を苦しめているのだ。
(私にできることなんて何にもないんだよね……)
池袋から渋谷駅に出て家路を辿る。昨夜、海斗と歩いた公園通りを歩いていると後ろから声をかけられた。
『葉山沙羅さんですよね』
振り向くと上品な雰囲気の紳士が立っていた。知っている人に似ているような、そうではないような不思議な既視感。誰かに似ている?
『結城と申します。息子がお世話になっております』
「……息子さん?」
ユウキという姓は昨日も聞いた。ならばこの紳士がマンションに尋ねて来た人だろうか?
そこで沙羅はようやく思い当たった。
星夜の苗字をどうして今まで忘れていたのか。
「もしかして星夜……さんの……お父さん?」
『はい。結城星夜の父です。はじめまして』
「はじめましてっ! 葉山沙羅と申しますっ!」
道端で紳士にお辞儀をする沙羅をカフェから出てきたカップルが指差していた。恥ずかしくなり、顔を赤らめた沙羅は渡された名刺に視線を落とす。