【Quintet】
『んじゃ、これからは男として意識させてやるよ。この際、結婚するしないは関係ない。沙羅と結婚するとしても沙羅が俺を男として好きじゃないと意味がない。本気で落としにかかるから覚悟しろよ?』

 悪戯に微笑む星夜の色気に酔わされる。
綺麗なブルーグレーの瞳に見つめられていると、身体が硬直して動けない。惹き付けられて吸い寄せられて、ほら、また。リップ音が鳴って唇が重なる。

『沙羅、ちゃんと息して。キスで死んじゃうよ?』

キスの合間に星夜に囁かれて息をしようと試みるけれど、唇の動きと容赦なく絡まる舌先と呼吸、同時にするには沙羅には難易度が高すぎる。

 大人のキスは、やることが多い。そう感じる沙羅はまだまだ子ども。

『少しは慣れた?』
「もう……全然ダメ……。星夜はなんでそんなに平気なのよ……」

 大人のキスに慣れている星夜が恨めしい。
キスに慣れているのは星夜がそれだけ女を知っていると言うことで、心にチクッと小さな痛みを感じた。これは……嫉妬?

『本当はこれ以上のこともしたいんだけどね。さすがに罪悪感が……』
「罪悪感?」
『ほら、やっぱり天然なとこが可愛いな』

男として意識させる星夜の作戦は早速成功してしまった。彼の発言のひとつひとつに心臓が騒がしい。
星夜への好きはLikeであってLoveではない?

(1日で色々起きすぎて私の頭は容量オーバーです……)

 恋愛偏差値ゼロの沙羅には刺激の強すぎるひとときだった。
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