【Quintet】
『そろそろ迎えが来る時間だな』
「そうだね。来たらコンシェルジュの人が電話くれるって」

 今日は葉山家から迎えの車が来る手筈《てはず》になっている。

『緊張してる?』
「うん……」
『俺もめちゃくちゃ緊張してる。うちの親父ならともかく今日会うのは沙羅のお祖父さんだ。……沙羅』

優しく名前を呼ばれた先には微笑む星夜の顔。

『沙羅はひとりじゃない。俺も、側にはいなくても海斗も悠真も晴もいる。皆が沙羅の味方だよ』

不思議だ。これから行くのは葉山本家なのに以前と比べると怖くない。
それはきっと、星夜達UN-SWAYEDの存在があるから。

 インターホンを通してコンシェルジュが来客の旨を告げる。沙羅と星夜は自宅を出てマンションの前に停まるリムジンに乗り込んだ。

 車の揺れを感じさせずにリムジンが渋谷の街を横断する。後部座席のシートに沙羅と星夜は並んで座った。

「純夜さんのこと聞いてもいい?」
『悠真に聞いたんだよな。いいよ、何が聞きたい?』
「純夜さんはどうしていなくなっちゃったの?」
『純夜は結城家の長男だからずっと結城家の跡取りとして教育されてきたんだ。親父は純夜には物凄く厳しくて、あいつはそれが嫌になったんだろうな』

 確かにあの父親ならありえる教育方針だと沙羅は納得した。長男だから、跡取りだから、それだけの理由で将来の道を親に決められてしまうのは理不尽だ。
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