二人で紡ぐLOVE STORY
臣吾は、聞いてなかったように睦月を呼んだ。

「睦月ちゃん!」

「あ、し、臣吾く……!!」

「話があるんだ!
一緒に帰ろ?」

「……/////あ、あの…」
目を泳がせる睦月。

すると静恵が「ムツ!」と目で訴え、睦月の背中を押した。
睦月は静恵に頷き、臣吾に「うん…」と頷いた。


ゆっくり、並んで歩く二人。

「………」

「………」

少し、沈黙が続き……

「………睦月ちゃん」
臣吾が口を開いた。

「ん?」

「言っておきたいことがあるんだ」

「何?」

「僕、花瑛と別れたんだ」

「………」

「………」

「………え…!!?」
心底驚いたように目を見開き、そして“もしかしたら私のせい!?”と臣吾に言おうとする。

「あ、勘違いしないでね!
睦月ちゃんがどうとかじゃないからね?
かなり前から、ギクシャクしてたんだ……」
それを、臣吾が制するように言った。

「そう…なんだ…」

「睦月ちゃんと、初めて一緒に帰った日があったでしょ?
あの時には既に、関係が悪くなってたんだ」

「そんな前から…」

「実は、睦月ちゃんとフェスに行った日には既に別れてた」

「そうなの!?」

「うん。
だからって、花瑛との関係が悪くなったんじゃない。
友達に戻っただけ。
でもみんなに心配かけると思って、花瑛と話して時期を見て落ち着いたら話そうって思ってて…」

「そうだったんだ……!」

「その上で、聞きたい……!
先週の“あの言葉の意味を”教えて?」

「………」

「睦月ちゃん」

「………」
睦月は意を決して、臣吾に向き直った。

「私、臣吾くんのこと―――――」

「あれー?
睦月じゃん!
また会ったな!」

そこに、ヒデヤが立っていた。

「え?」
(なん…で……!?)
睦月が、震え出す。

それだけで臣吾にはわかった。

「………」
(こいつか…“俺の”睦月を傷つけた下衆は……!)

そして意味深な顔をして、ヒデヤが近づいてきた。

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