恋愛なんてしない
「先輩、噂で回ってましたよ。出張先で大型の案件取ったって。おめでとうございます。」
「え?まあ大型と言えばそうかもだけど、取っ掛かりなだけだからな。」
「それでもすごいです。私は営業なんてできる気がしないので。」
「そっか如月は営業ならなかったもんな。」
先輩と仕事の話をすることはあまりないのでなんだか新鮮な気がする。
「営業っていろんな人と会って、その会社の顔になるから私には無理です。」
「如月なら全然できると思うけど。でも確か営業のスカウト蹴ってたもんな。」
「何で知ってるんですか?」
私が入社した頃、少しだけ営業部に配属になるかもしれないという話が出ていた。
でも私は営業はできる気がしなくて、何度も人事部と営業部の当時の部長さんと面談してたっけ。
私がその当時いた部署で頑張りたいという思いを汲んでくれたので営業部への配属は無くなったんだけど。
「いやだって、オファーしてたの俺だし。」
「え!?あの頃って先輩と私って関わりも何もなかったですよね。なのにどうして?」
「いや、俺あの頃他の部署でいい人いるかって聞かれて如月の名前出したの。周りに気を配れて絶対営業でも上手くいくと思ってたんだけどな~。」