【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
翌日、ワンボックスカーを知人に借りてくれたという部長が私のマンションまで迎えに来てくれてダンボール三箱で収まった荷物を見て目を丸くしていた。
「…荷物はこれだけか?」
「はい…4月に引っ越して来たばかりで、家具なども決めかねていてまだ購入前だったので」
「……車を借りるほどでも無かったな」
っと言いながら、荷物を車まで運んでくれる部長。その間に私は部屋に残っているものがないか確認して回った。
契約した時に訪れた不動産に出向き退去の手続きを済ませると、「ご結婚ですか?おめでとうございます」なんて…的をはずれた言葉が飛んできたので慌てて否定しようとしたが、
「ありがとうございます」
っと、爽やかな顔で部長が受け流すから…私も愛想笑いを振りまいてその場を凌ぐことにした。
手続きが終わり、家を失った私は…今の状況で部長に見捨てられたら終わるなぁと思いながら黙ってワンボックスカーの助手席に座り大人しくしていた。