神殺しのクロノスタシス2
…この、授業の退屈なこと。

思わずあくびが出てしまいそうだ。

ここで教わることは全て、既に僕の頭の中に入っている知識だ。

今更、その知識の引き出しを引っ張り出されても。

あぁそう、だから何?としか。

退屈で仕方ない。

自然と頬杖もつくし、何なら眠気に襲われもする。

しかし、残念ながら、この学院では授業中に居眠りすることは出来ない。

別に、禁止されている訳ではない。

居眠りしたら、鬼教官のチョークが額に飛んでくる、なんてこともない。

まぁ、あのイレース・クローリア辺りは、それくらいやりそうだが。

むしろ、あの女がチョーク投げくらいで勘弁してくれるなら、優しい方じゃないか。

とにかく。

イーニシュフェルト魔導学院は、ルーデュニア聖王国随一の魔導師養成校。

そしてここにいる生徒は、恐ろしいほどの受験倍率を潜り抜けてきた、優秀な魔導師の卵達。

授業中に居眠りなんて、とんでもない。

皆ビシッと前を向き、教師の一言一句を聞き逃すまいと、耳を傾け、忙しなく手を動かしている。

君達、勉強熱心で良いね。

対する僕は、教師の話なんて、ろくに聞いちゃいない。

でも、真面目に聞いている振りをしなければならない。

一応は僕も、「イーニシュフェルト魔導学院の真面目な生徒」の一人なのだから。

そうでなくてはならないのだから。

退屈だけど、それを隠して、真面目な生徒を演じなければならない。

他の生徒と同じように。

これが、大変苦痛であった。

おまけに今日の授業の担当は、シルナ・エインリーの分身だ。

空っぽの分身なんて、観察しても全然面白くない。

せめて、魔導部隊大隊長達だったら、授業を聞いている振りをして、観察することも出来たのに。

更に。

苦痛なのは、座学の授業だけではない。
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