国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「痛いの痛いの飛んでいけーっ! はい、これでもう大丈夫! もう痛くないはずよ」

少女は目を丸くして膝をつんつんと触った。

「本当だ。痛いのなくなった! あのね、隣町のパン屋さんに行く途中だったの。ありがとう聖女様!」
「どういたしまして。もう転ばないようにね」
「えへへ、はーい!」

嬉しそうに笑う少女を街の方角へと送り出す。
少女はしばらく走っていたが、突然立ち止まって振り向いた。

「聖女様、またねー!」
「……バイバイ」

ニーナが手を振り返すと、少女は嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねて、また駆けていく。
その後ろ姿はキラキラと輝いていた。

(もう聖女じゃないから助けられないと思ったけど……案外やれることがあるのかも)

そう考えると目の前が明るくなった。

「力が使えないなら知識をつければいいわけよ。そうと決まればセレンテーゼ帝国に行かないとね!」

セレンテーゼ帝国は、ルティシアの隣に位置する国だ。
いくつもの従属国を持つ巨大帝国で、ルティシアと違って、賢者と呼ばれる知識人が国を支えている。

中でも『大賢者』と呼ばれる人物は、あらゆる分野への造詣が深く、皇帝が教えを乞うのだという。

「よーし、大賢者に弟子入りして聖女から賢者にジョブチェンジよ! もう217歳だけど、まだまだ若いんだから!」

そう意気込んで、ニーナはセレンテーゼ帝国へと出発したのだった。



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