国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
大司教が指示すると従者たちがさっと現れ、アレクサンドロスとマリアを出口へと案内し始める。

「おい! 俺なしで話を進める気か!? 大司教なんかに代理が務まるものか!」

フェルディナンドは最後までわあわあと文句を言っていた。

一方のマリアは、言われるがままに立ち上がるとふらふらと歩き出す。
そしてちょうどニーナの目の前を通り過ぎる時、ふらりと転んだのだ。

「大丈夫ですか?」

ニーナが思わず立ち上がって手を差し伸べると、マリアがそろそろと手を取った。

そして立ち上がる瞬間――

「大司教には気をつけなさい。貴女、また騙されるわよ」

ニーナの耳元で無声音が響いた。パッとマリアを見るが、彼女は虚ろな目のままふらふらと立ち上がって再び歩き始めた。

(今の、なに……?)

ニーナが言葉に気を取られている間に、マリアもアレクサンドロスも退出してしまった。

「さて……邪魔者はいなくなりましたのでお話をしましょうか」

大司教がゆったりと座り直す。

ニーナはその姿を見てゾクリとした。
彼の目つきは、興奮に満ちていたのだ。

皇帝は大司教を見て喉を鳴らす。

「悪い男だ。これから自らの国を売り払う算段を話すというのに」
「私は神の御心のままに行動しているだけですよ。さて、ニーナ・バイエルン」
「はい……」

突然名前を呼ばれ、ニーナは警戒した。

「そう構えないでください。今から話すのは昔話です」

そして大司教が語りだしたのは、ルティシアの秘密だった。



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