国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「森に瘴気の雨を降らせるのは名案でした。まあ、ここからは少し殿下に任せておりましたがね。まずルティシアの北山脈から瘴気を発生させます。そして水晶をもった人間が森で待機をする。すると……瘴気同士が引き合って、ちょうどあの辺りで雨が降るのですよ。素晴らしい発見でしょう? 最近の異常気象のおかげで、量の調整に失敗しましたがね。慎重になりすぎて薄くしすぎました」
「なんてこと……! あれ以上濃かったら、街中に被害が出ていたわ!」

ニーナが大司教に非難の目を向けても、彼は酔ったように微笑むばかりだった。

「王族の信頼は揺らぎ、帝国から目をつけていただける最高の作戦でした。ニーナ様に浄化されてしまいましたが、誰の仕業か分かれば十分です。これで帝国がルティシアを侵略すれば、聖女制度は崩壊します! さあ皇帝陛下、ルティシア国はセレンテーゼ帝国の元に参ります。どんなことにも従います。我が国を手にしてください」

大司教が皇帝の足元に跪く。
皇帝は満足そうだ。

「陛下は……いつから大司教の企みをご存知だったのですか?」

ニーナが静かに尋ねた。

「一週間ほど前だ。不法に入国してきたのでその場で処刑しようかと思ったが、全貌を明らかにすべきだと考えて生かしておいた」
「死など恐れることではありません。私は役目を果たし、神のもとにいけるのですから。さあ、どうか侵略のご決断を!!」

(狂ってる……)

目の前で神に祈りを捧げるものが、同じ人間とは思えなかった。



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