国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「ルティシア国で聖女がお役御免になる訳ないでしょう? まだ交代の年でもないようですし、一体何があったのです?」
「それは……」
「言いにくいことでしたら、無理に言わなくても構いませんよ」

ニーナが言い淀むと、青年はあっさり引き下がった。
けれど、ニーナの手を離すことはなかった。

「あの、貴方が大賢者様なのですか?」
「あぁ自己紹介が遅れて申し訳ありません。僕はフェルディナンド。確かに皆からは大賢者と呼ばれています」

やはりこのフェルディナンドという青年が、大賢者だったのだ。

(こんなに若いのに……)

まだ二十歳くらいの青年が、大賢者として人々に尽くしている。
そのことが昔のニーナを思い出させて胸がきゅっと痛んだ。

「ニーナ様、言いたくないことは黙っていても構いません。ただ……今回お越しくださった件について、国際問題に発展する可能性があるかだけお答えいただけますか? セレンテーゼ帝国の大賢者とルティシア国の聖女が手を組むのは、色々とマズイので」

フェルディナンドの言葉にニーナはハッとした。
確かにそうだ。ここはきちんと話しておくべきだろう。

「それは大丈夫です。私は追放されたので」
「は?」

ニーナがはっきりそう言うと、フェルディナンドの首筋にはピキピキと青筋が浮かびあがった。

「追放? 聖女だったニーナ様が?」

フェルディナンドの声は低く、怒りに満ちていた。
握られていた手に力を込められ、ニーナは思わず顔をしかめる。

「お、落ち着いてください。ちゃんとご説明しますからっ!!」

ニーナの焦った声に、フェルディナンドは慌てて手を離してくれた。


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