国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「あ、聖女様!……じゃなかった! 賢者様~!」

ルティシアに着くと、小さな子どもに声をかけられた。

「あら、こんにちは」
「何してるのー? お怪我の人を探してるの? あれ? もう賢者様だから違うよね」

子どもは首を傾げて「なんでなんでー?」と不思議そうだ。

「ふふっ、今日は皆が元気で暮らしてるか見に来たのよ」
「そうなんだ! あのね、私すっごく元気! 今からお友達と遊びに行くの!」
「そう。楽しんできてね」
「うん、じゃあねー!」

楽しそうに走っていく子を見送っていると、懐かしい気持ちになった。

「フェルディナンドに初めて会った時、あれくらい小さかったわよね」
「えぇ? もう少し大きかったよ」
「あら、そうだっけ? 確か、お母様の背中に隠れていたから……」
「そういう思い出し方しないで」

不貞腐れたようにそっぽを向くフェルディナンドが可愛らしい。

「ふふっ、ごめんなさい。そういえば、お母様は元気なの?」
「うん。今日もニーナと一緒にルティシアへ行くって言ったら、涙を流して喜んでたよ」
「今度お会いしたいわ。お母様の感謝の言葉にもずっと救われてたから」
 
ニーナが微笑むと、フェルディナンドもこちらを向いて笑いかけてくれた。

「あの時はこんな風に肩を並べられるなんて思わなかった。同じ時を生きられるなんて……神に感謝したい気分だ。一緒に生きる機会をくれたんだから」
「大げさじゃない?」

からからと笑うと、フェルディナンドは真面目な顔をした。

「大げさじゃないよ。意味分かってる? これからもずっと一緒にいたいってことだよ」
「え? もちろん一緒にいるでしょ? フェルは私の師匠なんだから!」

ニーナの満点の笑顔にフェルディナンドは「まいったな……」と呟いた。




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