国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
塔の中はとてつもなく広かった。

どの階も溢れんばかりの書物があり、あらゆる分野の本たちが整然と並んでいる。

「わぁ! これはすごいですね。ルティシアの国立図書館にだって、こんなに本はありませんよ。……あ、この本ってシリーズだったんだ。知らなかった」

ニーナの感嘆の声を上げながら『植物学/乾燥地帯』と書かれた本を手に取った。
興味深そうにページをめくっていると、「こちらと合わせて読むと分かりやすいですよ」と横に数冊の本が置かれた。

「ところでニーナ様」
「あ、ニーナと呼んでください。私が教えを乞う立場ですから」

立場ははっきりさせておいた方が良い。ニーナがきっぱりと言うと、フェルディナンドは少しの間俯いて考え込んでいた。

しばらくして顔を上げたフェルディナンドは、少し困ったような表情をしている。

「ですがニーナ様の方が年上ですし、年長者は敬うものです」
「私の年齢は……ちょっと例外的なものですし、気になさらないでください」

ニーナが食い下がると、フェルディナンドは苦笑いをした。

「ではお互い呼び捨て、敬語もなしでいかがです? お嫌でしたら……」
「それで構いません! じゃなかった、構わないわ!」

ニーナが前のめりに答えると、フェルディナンドは笑いながら頷いた。

「ではそれで。まったく強情だなあ」

そうして軽くため息を吐いたフェルディナンドは、自然と師匠の風格を纏っていた。


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