国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
この人はどこまで知っているのだろう。ニーナはマーティスの顔をまじまじと見つめた。

「おっと……弟は悪くないよ。この間会った時にルティシアの話が出てね。その時様子が変だったから、俺が問い詰めたら白状したんだよ。聖女様が塔にいるってさ」
「元、聖女です」
「あぁ、そうだったね。じゃあフェルディナンドとお揃いだ」
「お揃い……確かにそうですね」

ニーナはなんとも言えない表情で、マーティスとフェルディナンドを見比べる。

(この人はセレンテーゼの皇太子で、フェルは元皇子。そして私はルティシアの元聖女。聖女のままだったら絶対にあり得なかった状況だわ)

最初は呆然としていたニーナだったが、だんだんとこの状況が面白くなってきていた。
驚きも過剰に摂取すると笑えるのだと知った。

ニーナがふふっと笑うと、フェルディナンドが不思議そうな顔をする。

「黙っていたこと、怒っていないの?」
「当然でしょう? 私だってフェルに気づかれなければ、聖女のこと黙っているつもりだったんだから」

笑いながらニーナが答えると、フェルディナンドの表情がようやく緩んだ。
 
「そっか。ありがとう」
「ふふふっ、どういたしまして」


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