国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
◇◇◇


ニーナは白くぼんやりとした景色の中に立っていた。
どこからか声が聞こえる。

「聖女様、どうして僕を助けてくれるのですか? 本当は僕のこと、助けたら駄目なのでしょう?」

気がつくと、ニーナの目の前には綺麗な顔立ちの少年が立っていた。
誰にも聞かれないように囁かれた言葉は、小さく震えていた。

(聖女様だって……あぁ、そうか。これは夢ね)

ニーナはしゃがみ込んで少年と目線を合わせた。
そして少年だけに聞こえるようにそっと囁いた。

「私には何のことか分からないわ。それにね、助けちゃ駄目な人なんていないのよ」

そのまま少年にそっと手をかざして治癒を施す。
ニーナは力が流れていくのを感じた。

それは忘れていた感覚だった。

(あぁ……この感覚、懐かしいわ)

治癒が終わるとニーナは微笑んだ。

「もう大丈夫ですよ。今までよく頑張りましたね」

そう言うと、少年はダークブルーの瞳を輝かせた。

「聖女様、本当に僕の病気を消してくれたのですか? 神様みたい……」

キラキラと輝く瞳は、どこか懐かしさを感じさせた。


◇◇◇



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