俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
講習会のあと、花音の母親からお受験対策の幼児教室にこれから向かうと聞いて、志望校を尋ねてみると、たまたま蒼真の出身校だった。

興味を持ったのが顔に出たのだろう、蒼真が「帰りに寄ってみるか?」と言ってくれ、こうして見に来たのだ。

「小学生の頃の蒼真さん、見たかったです」

その頃から見た目抜群で頭も切れていたのだろうか。

子どもの頃の蒼真を想像すると当たり前のように小学生の頃の恭太郞の姿も現れて、つい笑い声をあげそうになる。

「俺も、子どもの頃の里穂が見たかったよ」

蒼真が里穂の顔を覗き込んだ。

「常連さんとか、幼なじみがしょっちゅう店に顔を出すだろ? 俺の知らない里穂の話で盛り上がるのを見てるのは……いや」

「蒼真さん?」

不意に目を泳がせた蒼真を、里穂は首をかしげ見つめる。

「なんでもないんだ。ただ」

蒼真は珍しく強い口調でそう言うと、里穂の手を取り歩みを速めた。

「あの?」

話の途中でいきなり手を取られ、里穂は足元をもたつかせながらあとに続く。

手をつないだり抱きしめたり、蒼真にとって大した意味はないとわかっているが、まだ慣れない。

蒼真は母校の建物を通り過ぎ、車を停めているパーキングに向かっているようだ。

人通りの多い交差点の信号が赤に変わり、立ち止まる。

すると蒼真は軽く腰を折り、里穂の耳元に唇を寄せた。

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