俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
彼こそ杏華堂の次の社長としてふさわしい。

「お、お前、なにを偉そうに言ってるんだ、俺を誰だと――」

「俺の愛する妻をこれ以上侮辱しないで下さい」

常務らしい男性がヒステリックな声をあげたと同時に、聞き慣れた声が響いた。

顔を向けると、険しい表情の蒼真がすぐ近くに立っていた。

眉間には深い皺が浮かび、鋭い視線を男性に向けている。

「彼女を妻にしたくて強引に口説いたのは俺です。彼女は自分の欲のために結婚するような人じゃありません」

蒼真は里穂を背に立ち男性に冷たく告げる。

「常務、彼女に謝罪して下さい」

蒼真が強く迫る。

「だ、誰に言ってるのかわかってるのか? 謝罪? 俺がそんな女にするわけないだろ。第一、麗美さんのことはどうするんだ。彼女はお前と結婚するつもりなんだぞ」

「その話なら最初から断っているはずです。もともと俺は、里穂以外の相手と結婚するつもりはなかったんです。もちろん別れるつもりもありません。だからいい加減、あきらめて下さい。迷惑です」


トーンを抑えた声で淡々と告げる蒼真の顔が苦々しげに歪み、かなりの怒りを我慢しているのがわかる。

「それにこれ以上ここで騒ぐのはやめた方がいいですよ。ここにいるうちの社員たちが、呆れて見てますから」

「はっ? なにを言って……」

男性は我に返ったように表情を固くし、辺りを見回している。

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