俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「あの時は、私たちのことを詮索されたくなくて。それに、蒼真さんのことを悪く言われてつい……我慢できなくて。すみません」
「どうして謝るんだ? 俺のために言ってくれたんだろう?」
里穂は紅潮している顔を蒼真に向け、うなずいた。
「蒼真さんがどれだけ会社のために頑張っているのか知らないのにひどいことばかり言うので、我慢できなかったんです。ごめんなさい」
里穂は力なくそう言って、頭を下げた。
蒼真の会社のことに首を突っ込むつもりはなかったが、余計なことをしてしまった。
「謝らなくていい。それに里穂の言葉、うれしかった。ありがとう」
「いえ、そんなっ」
蒼真から愛おしげに見つめられ、里穂は照れくささに目を泳がせた。
「里穂を心配しながら常務を追ってきたら、店に入った途端、愛の告白が聞こえてきた」
「だからそれは……」
「うれしくて、正直常務のことはどうでもよくなったよ」
蒼真の口から飛び出す言葉があまりにも甘いような気がして、答えに困る。
「うちの社員たちも同じ気持ちみたいだな。スッキリした顔をしてる」
「え?」
里穂は首をかしげる。
「さっき常務にも言ったけど、うちの社員たちが今もチラチラ見てる」
「え」
蒼真の言葉をようやく理解して、里穂は広い店内を見回した。
相変わらずあちらこちらから視線を向けられている。