俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
蒼真の腕の中にいるだけで心が落ち着き安心できる。 

他のことはすべて後回し。

ただここにいたいと思ってしまう。

自然に身体が動き、目の前にある蒼真の水色のシャツに額を押し当てた時。

「里穂の味方なら、俺以外にも結構いるみたいだな」

蒼真の楽しげな笑い声が聞こえ、里穂は顔を上げた。

「私の味方?」

蒼真の視線をたどって周囲を見渡せば、相変わらずの、というよりもさっきよりもたくさんの目が里穂たちを見ている。

どの目も里穂たちのやり取りに興味津々、食事の手も止まっている。

味方というのは杏華堂の社員たちのことのようだ。

「……っ」

あまりの恥ずかしさに、里穂の口から声にならない声がこぼれ落ちる。

「出ようか」

楽しげな蒼真の声にうなずくと、里穂は真っ赤に違いない顔を隠すようにうつむきながら、店を後にした。

その日の晩、里穂は蒼真から手渡されたタブレットの画面を見つめていた。

「これって、この間の講習会の時の?」

表示されているのは、杏華堂のホームページに今日アップされたメディカルメイクの特集記事で、講習会の時の写真が何枚か掲載されている。

「これ、すごくいい写真ですね」

里穂が見ているのは、杏が参加者にメイクを施している写真だ。

参加者は後ろ姿しか見えないが、杏が笑顔で話しかけている。

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