俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
里穂は今日目の当たりにした常務の不躾な態度を思い出す。

「確かになにを始めるのかわからないですね」

「あと、結婚したことを知らせたのは常務だけじゃないんだ」

蒼真はタブレットに再び視線を落とすと、素早く操作し別の画面を表示させた。

「なんですか」

「社内報。社員と家族だけが見られる、会社の活動報告みたいなものかな。今日の終業後にアップされたばかりだ」

目の前に差し出された画面を見ると、全社社員の人事異動や入社と退社に関する報告、そして一番最後に結婚した社員の名前がある。

「経営戦略部 桐生蒼真? あっ、これって」

声をあげた里穂に、蒼真はうなずいた。

「もともと株主総会が終わって最初の社内報で公表するつもりだったんだが。HPからばれるとは考えてなかった」

面白がるような口ぶりにつられて、里穂も笑みを漏らす。

「常務さん、相当びっくりしたんでしょうね。お店に飛び込んで来た時、鬼のような顔をして私のことを捜していたんです」

そのうえ終業後には追い打ちをかけるように社内報で蒼真の結婚を確認させられているはずだ。

[あと、今日常務が里穂を捜しにまっすぐカフェに向かったのは――」

「蒼真さんに離婚する気がないので仕方なしに私を説得して、というか私にお金を渡して離婚させようとしたということですね」

「あ、ああ」

< 136 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop