俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
蒼真がメッセージを確認したと同時に頰が緩むのを我慢できずにいると、社長である父がそれに気づいた。


『里穂さんからか? そういえばそこのカフェで待ち合わせしてると言っていたな。新婚さんは仕事の合間も会わずにいられないようだな』

お調子者の父の軽はずみな言葉を耳にした常務が社長室を飛び出したのは、その直後のこと。

蒼真たちが止める隙もない、あっという間のことだった。

今夜は里穂がカフェにいることを常務がどうして知ったのか、そこまで説明するつもりでいたが、里穂はそのことはなにも気にしていなかった。

常務から浴びせられた非常識な言葉や不躾な態度に戸惑い、そして大勢の社員たちに成り行きを見られていたことに動揺してそれどころではなかったのかも知れないが。

単純すぎるだろうと、蒼真は呆れ顔で里穂を見つめた。

「ん……」

もぞもぞと動く里穂の顔にうっすらと笑みが浮かんでいる。

なにか楽しい夢でも見ているのだろうか。

ベッドサイドの灯りにぼんやり照らされた里穂の顔を眺めながら、蒼真も彼女の隣に身を横たえた。

その反動でマットが上下しても目を覚ます気配はなく、穏やかな寝息をたて続けている。

手を出さないという蒼真の言葉を疑うことなく信用し、警戒心もなくぐっすり眠っている。

蒼真は再びため息を漏らすと、片ひじで頬杖をつき里穂の寝顔を見つめた。

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