俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
とはいえできの悪い常務に経営能力はなく、社員たちからの人望も薄い彼の野望が実現する可能性はゼロ。
国を代表する企業とも言える杏華堂の創業家という抜群の家柄とはいえ、というよりだからこその問題に、桐生の家族は頭を抱えているようだと雫は心配していた。
恭太郞のこととはいえ家柄という言葉に敏感に反応したのも、そういう面倒な背景があるからかもしれない。
だったら……反対されてるわけじゃないなら、どうしてプロポーズのこと、教えてくれないんだろう」
雫も恭太郞も、そんな素振りはまるで見せない。
「笹原が今は無理だと言って断っているらしい」
里穂は目を見開いた。
「それって、あの……どうして」
あれだけ一途に恭太郞を想う雫がプロポーズを断るとは信じられない。
桐生は箸を置き、カウンター越しに里穂に向き合った。
「他人の俺が里穂さんに話すべきことではないとは思いますが――」
わずかに迷いを浮かべた表情で桐生が口を開いた時、相変わらず建て付けの悪い入口の扉がガタガタと音を立てながら開いた。
「こんばんは。あ、里穂さん、この間の話ですけど少しいいですか?」
ひとりの男性が顔を覗かせ、里穂に明るく声をかけた。
「小山さん……いらっしゃいませ」
里穂はぎこちない笑みを浮かべた。
彼は大手不動産会社の営業の小山だ。
国を代表する企業とも言える杏華堂の創業家という抜群の家柄とはいえ、というよりだからこその問題に、桐生の家族は頭を抱えているようだと雫は心配していた。
恭太郞のこととはいえ家柄という言葉に敏感に反応したのも、そういう面倒な背景があるからかもしれない。
だったら……反対されてるわけじゃないなら、どうしてプロポーズのこと、教えてくれないんだろう」
雫も恭太郞も、そんな素振りはまるで見せない。
「笹原が今は無理だと言って断っているらしい」
里穂は目を見開いた。
「それって、あの……どうして」
あれだけ一途に恭太郞を想う雫がプロポーズを断るとは信じられない。
桐生は箸を置き、カウンター越しに里穂に向き合った。
「他人の俺が里穂さんに話すべきことではないとは思いますが――」
わずかに迷いを浮かべた表情で桐生が口を開いた時、相変わらず建て付けの悪い入口の扉がガタガタと音を立てながら開いた。
「こんばんは。あ、里穂さん、この間の話ですけど少しいいですか?」
ひとりの男性が顔を覗かせ、里穂に明るく声をかけた。
「小山さん……いらっしゃいませ」
里穂はぎこちない笑みを浮かべた。
彼は大手不動産会社の営業の小山だ。